2009/01/31

ディフェンシブな開発はそんなに悪なのか?

SIerに関するいくつかの記事を読んで、「ディフェンシブな開発」について考えたことを書き出してみる。

ディフェンシブな開発とは、開発途上のリスクを計画上の時点でなるべく潰し、開発側に発生する利益分を減らさないような開発の進め方をすることを言っている。加えて、この場合、開発側はリスク分はなるべく多めに見積もり金額にいれようとしがちだ。

私は、開発途上のリスクを計画時点で潰そうとすること自体は非常に有意義だと思います。
ただ、これまでのウォーターフォールモデルは、それに全力を注いで
1イテレーションだけでシステムを構築しようとするから無理があった。

ディフェンシブなシステム開発を強いられているSIerというのは、いわば奇形児のような存在ではないかということです。(中略)なんでシステムを作るって事が、決められた金額の中で買い叩くスキームの中でやらなきゃならないんだ?(中略)今後はユーザー企業がどんどん内製で出来るようなシステム作りを支援する方向に向かわねばならないのは明白。

内製であろうと、SIerによる開発であろうと、決められた金額にリスクを見込まなければいけないのは同じで、
結果として当事者達に、「利益」となるのか「コスト」となるのかの違いでしか無いのでは?
会社に予算という枠がある以上、その中での実現を目指す点は変わりませんから。

そう考えると、「ディフェンシブなシステム開発」には、少なからずニーズがある。
また、決められた予算を守る実力を持ち、予算を超えるリスクを背負う「専門家」が必要になる。

だから、SIerの生き残る道の1つは、
「システム開発のリスクテイカーとして、ディフェンシブな開発に特化する」
ことだと思うのです。

また、以下の記事にもあるように、人材マネジメント的なリスクテイクの意味合いも多分にあるでしょう。

ただ今のように解雇が難しく、技術ライフサイクルが短いままだと、社内でプログラマを抱えても仕事を与え続けることが難しいので、引き続き主契約企業として責任と開発期間中のキャッシュフローを負担できる大手SIerを頼る可能性が高い。

更に、システム内製の話についても一言。

今後はユーザー企業がどんどん内製で出来るようなシステム作りを支援する方向に向かわねばならないのは明白。

簡単に構築できたり、少々止まっても構わないシステムは、
リスクが小さいので技術支援のみで、SIerに頼む必要も無くなるでしょうが、
本当に止めてはいけないシステムは、そう簡単に構築できないですよね?

Googleなんて止まっても、ぶっちゃけIT通の人たちがちょっと半日イラっとするくらいだよね。

そんなんじゃなくて、本当に止まっちゃいけないシステムは、それこそ泥のように働いているSIerの人たちが、みっちり支えてくれているんじゃないのかなぁ。

この道を目指す会社は、ガチで低コスト&高品質に挑戦しなければいけません。
ニーズもあって、企業努力も必要な健全なビジネスだと思うのですが、
こうも嫌われているのは一体何故なのでしょうか??
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tsutaken at 16:22│Comments(0)SIer | 教えて

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