2008/12/30

俺はSIerで働くことを誇りに思っている

SIerで働く人に送りつけられた、挑戦状とも取れるこの記事。
日本のIT業界は救いようがない。絶望的としか言いようがない。(中略)ちょっと補足しておくけど、ここでIT業界っていうのは、SIerのことだ。お客さんの要件をヒアリングして、その要求に沿ったシステムを受託開発するっていうビジネスのことを指している(中略)受託開発の世界のどこにイノベーションがあるのだろう?(中略)ま、そんなわけで、世の中が目まぐるしく動いているのに自分は・・・という焦りを覚えている心ある技術者は、全力で受託開発の会社から逃げ出す準備を整えたほうがいい。とても残念なことだけど、そこには未来は絶対にないよ、とハッキリと言っておくのが、ぼくにとっての精一杯の誠意だ。

正直、読んだ時は衝撃を受けた。
「今の仕事を続けていたらまずいのか?」という思いと、
「正論だが、何か違う気がする、、、」という思いが交錯し、
思い悩むネタとして心に残り続けた。

が、改めて読みなおしてみると、あまりにも狭い価値観による意見だと気づいた。
キッカケになったのは、「エンジニアの未来サミット」であった以下のやりとり。

吉岡さん:  コンピュータは、ムーアの法則の呪縛から逃れられていない。
 近年のマルチコア、マルチプロセッサの流れも、元をたどれば、80年代には
 その源流となる考え方があったし、論文も出ている。

小飼さん: いやしかし、安価にそういった技術を利用できるようになって始めて、
 実際につかえる発明がなされている。
 論文だけで終わるのと、実際に使えるものが創られるのは大きな違いがある。

イノベーションが起きる(=新しい技術が世に広まる)為には3つのステップがある

 Step1.高度な専門性を元に、新しいアイデアをアウトプットする
 Step2.新しいアイデアを組み合わせ、実際に「動くモノ」(部品、製品)を作る
 Step3.「動くモノ」を「使えるモノ」にして提供し、利用者にとって「価値ある状態」にする

このうち、どのステップに価値や楽しみを見出すかは人それぞれ。
ソフトウェア業界で、3つのステップをやっている所を具体的に挙げると、、、

 Step1.大学などの研究機関
     SIerの研究部門(少数派)
 Step2.オープンソースコミュニティ
     SIerの製品開発部門(少数派)
     パッケージベンダ
 Step3.SIer(大多数)
     パッケージベンダのSI部門
     ソフトハウス

だと思う。(若干あやしいので指摘歓迎)

冒頭の記事を書いた江島さんは、Step2に最も大きな価値を見出しているのだろう。
そんな人の目に、SIerの仕事が絶望的に映るのはある意味当然だ。

一方、Step3に最も大きな価値を見出す私としては、SIerの仕事はとても楽しい。
色々な製品を組み合わせたり、効率的な仕組みを考えたり、
自分にとって初めての技術や、初めてのビジネスにチャレンジできる。
私は結構飽きっぽい性格なので、色々なものに触れたい。
そんな人間に今の仕事は性に合っている。

生産された財は、最も低水準なサービス財と同様、たった一人の顧客に届けられる。以上おわり。

江島さんはこうも書いているが、財が顧客に届かなければ、
誰も幸せにならないし、結果としてイノベーションにはならない。
私の場合は、「イノベーション」とやらより、「身近な人を幸せ」にしたいので、
顧客に財を届けた時に、相手が喜ぶ顔がうれしい。
まぁ、有名になりたい人は、Step1か2を目指すべきだとは思いますが。。。

結局、書きたかったことは、、、
 ・どのStepが欠けても「イノベーション」は起きない
  → だから、どのStepに価値を見出すかは好みの問題
    → よって、Step3に位置するSIerだって絶望的なんかじゃない
ということです。

Let's enjoy System Integration !!
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tsutaken at 01:42│Comments(0)SIer | 大切

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